固定資産の減損損失、臨時償却、および臨時損失の相違点
減損損失は、投下資本の回収が見込めなくなった場合に、資産の評価額に将来の回収可能性を反映させるべく、評価減を行うものである。リーマンショックをはじめとする、過去の金融危機を通じて、貸借対照表上の資産に回収可能性を反映させるべきとの教訓が得られており、その点からも減損損失は重要な意義を有している。
我が囻の、「固定資産の減損に係る会計基準」では、割引前将来キャッシュフローが資産の帳簿価格を下回った場合のみに減損損失を認識することとされ、いったん認識した減損損失は振り戻しできないとされている。
これに対し、 IAS36では、資産から生じる将来キャッシュフローの現在割引価値額が当該資産の帳簿価格を下回った場合には減損損失を認識し、その後の期間に回収可能性が高まった場合には減損損失の振り戻しができるとされている。
臨時償却は、減価償却の耐用年数の設定等にあたって予見することのできなたった事態(たとえば新技術の発明等)が発生し、それにより固定資産に機能的減価が生じた場合に、臨時に減価償却をおこなうものである。通常の減価償却とは異なり、原価性がない。
平成 21年 12月に公表された企業会計基準第 24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」により、プロスペクティブ方式により会計処理することが規定された。
臨時損失は、事故・火災等の偶発的な事象の発生により、固定資産の実態が物質的に滅失した場合に固定資産の簿価を切り下げ、災害損失を計上するものである。