退職給付の会計処理
退職給付費用は、勤務費用・利息費用の吅計額から、年金資産にかかる期待運用収益を控除し、未認識差異(未認識会計基準変更時差異・未認識数理計算上の差異・未認識過去勤務債務をいう。以下同じ。)の各期の償却額を加減算することで、求められる。
退職給付引当金は、期末時点の退職給付債務 (PBO)の公正価値から、年金資産の公正価値を控除し、未認識差異を加減算することで、求められる。
我が国では、会計基準変更時差異は 15年以内の一定の年数で、数理計算上の差異および過去勤務債務は、平均残存勤務期間内の一定の年数で償却することとされている。
これに対し、国際財務報告基準では、 2011年 6月 16日公表の改訂 IAS19号により、 2013年 1月 1日以降開始する事業年度よりすべての差異を即時認識することとされ(IAS19号 8項・63項)、過去勤務債務の認識額は勤務費用として純損益を構成し、数理計算上の差異の認識額は OCIに計上しリサイクリングしないこととされている( IAS19号 120項)。
我が国も、これを受けて、コンバージェンスプロジェクトが進められており、貸借対照表上では即時認識し、差異については OCIに計上して、リサイクリングする(純利益上は遅延認識する)ことが提案されている(公開草案 14~15項・11項,基準案注解 7・10)
また、国際財務報告基準では、(我が国で用いられている期間定額基準と異なり、)給付算定式(a plan benefit formura)により退職給付費用を各期へ配分することが規定されていたり(IAS19号 64・67項)、年金資産の計上額に上限が定められている(アセットシーリング)(IAS19号 64項,IFRIC14号)など、我が国基準と一定の差異がある。
加えて、我が国では、従業員の厚生年金・国民年金について、賃金給与および法定福利費として費用計上することが一般的であるが、国際財務報告基準では、複数事業主制度として、処理することが求められている( IAS19号 43~45項)。